2024年11月10日(日)、山口県防府市にある大道小学校にて「大道まつり」が開催されました。今年で45回目となる、歴史あるお祭りです。とくに今年は、大道小学校開校150周年という記念すべきタイミングということもあり、お祭りを盛り上げようと大道小学校の子どもたちの気合いは十分!いよいよ開始時刻間近になると、地元の方が続々と集まり、にぎやかな雰囲気に満たされていきました。

ふるさとへの愛と誇りを育むために

大道まつりは、地域の人々みんなで作るお祭りです。校庭には、JA防府や大道郵便局の職員たち、山口短期大学の学生たちなど、たくさんの人々の協力による出店が並んでいました。その中のひとつにあったのが、大道小学校5年生による「子ども出店」です。

画像: 最初はまだ少し緊張した様子でお客様をお出迎え

最初はまだ少し緊張した様子でお客様をお出迎え

大道まつりはこれまで何度も開催していますが、子どもたちが出店を企画・運営するのは今回が初めてのこと。実は大道地域では、人口の減少やコロナ禍を経て、子どもたちが地域の伝統や文化、人々といったさまざまな“ひと・もの・こと”に触れる交流の機会が減っていました。ふるさとへの愛着と誇りを持つことは、この先の人生の“心棒”にもなります。大道小学校の矢ヶ部校長は、地域の宝である“ひと・もの・こと”を子どもたちにつなぎたいと考え、JKA補助事業に申請し、大道まつりへの子どもたちの出店参加を決めたそうです。

画像: 意外と難しい!?時間内に、さつまいもを何袋ゲットできるかにチャレンジ

意外と難しい!?時間内に、さつまいもを何袋ゲットできるかにチャレンジ

子ども出店では、袋に入ったさつまいもを紐で釣り上げるという、一風変わったチャレンジが行われていました。元気な声で応援する子どもたちとはうらはらに、竿を持った大人たちの表情は真剣そのもの。このさつまいもは5年生が育てたもので、袋に貼られたシールのキャラクターも子どもたちがつくったものだそう。

画像: 左がさつまいもの「ほっかちゃん」、右がお米をイメージした「モッチくん」

左がさつまいもの「ほっかちゃん」、右がお米をイメージした「モッチくん」

キャタクターシールづくりに取り組んだ広報部の子どもたちに話を聞いてみると……

「キャラクターは5年生がそれぞれ好きに描いて、最後は私たち広報部が中心になって、みんなに投票してもらって決めました。さつまいものキャラクター“ほっかちゃん”は、さつまいもデザインの帽子がチャームポイントです」とキラキラした笑顔で教えてくれました。

画像: 無事にキャラクターデビューを迎えて、大道まつりが特別な思い出に

無事にキャラクターデビューを迎えて、大道まつりが特別な思い出に

子どもたちの農業体験を、大道を元気にするきっかけに

5年生は、大道まつりに向けてもち米づくりにもチャレンジしていました。水田を借りて、地域の人々の協力のもと、田植えから稲刈りまで手作業で体験。さらに当日には、自分たちがつくったもち米で餅つきを楽しむ一幕も。「せーの!」という掛け声に合わせて、大きな杵を振るのは、ほとんどの子どもたちにとって初めてのことだったようです。

画像: 頑張って杵を持ち上げ、ドキドキしながらお餅をつく子どもたち

頑張って杵を持ち上げ、ドキドキしながらお餅をつく子どもたち

初めての餅つきを体験した男の子は「ちょっと難しかったけど、面白かったです!苗を植えてから、自分たちで鎌を使って刈ったもち米がどのくらいおいしいか、後でお餅を食べるのがすごく楽しみです」と話してくれました。

大道の歴史を、現代から未来へ

大道まつりでは、伝統や文化に触れる機会も多くありました。校舎の一室では、江戸時代から続く大道人形浄瑠璃に使われる人形を展示。ガラスケースを前に足を止め、奥深く豊かな表情に魅せられている来場者の姿も見られました。大道人形浄瑠璃は歴史ある芸能ながらも、演者の高齢化や後継者不足により、近年では浄瑠璃人形自体も日の目を見ない状況に。展示を通して関心を高めることで、未来へつなぐ一助になるよう考えられ、今回の展示に至りました。

画像: 個性豊かな人形浄瑠璃や大道人形浄瑠璃にまつわる資料を展示

個性豊かな人形浄瑠璃や大道人形浄瑠璃にまつわる資料を展示

また、校庭に設置されたステージでは、鎌倉時代から続く全国唯一の奇祭「笑い講」にちなんだプログラムも開催。3人1組でチームを組み、「わっはっはっ!」と3度の笑い声で競います。照れも緊張もどこへやら。空まで届くほどの全力の笑い声に、観客も思わず笑ってしまうほど大いに盛り上がっていました。

いつか、地域の担い手になってくれることを願って

大道まつりへの想い、子どもたちの未来への想いを、大道小学校 矢ヶ部校長にお話しいただきました。

矢ヶ部校長:「まずは、大道まつりを無事に迎えられたことが何よりもうれしいですね。子ども出店の運営に携わった子どもたちにとっては、大道地域の“ひと”のあたたかさ、仕事への誇りや責任を感じる機会になったと思います。こうした成長の実感は、『おらが大道』とふるさとへの愛着や誇りにつながるのではないでしょうか。彼らが上級生になったときのさらなる展開も期待されますし、大人になったとき地域の担い手となってくれることが私の夢ですね。

また、今日のこの日に『大道小学校開校150周年記念式典』を執り行うこともできました。式典後にはたくさんの保護者や地域の方々から、あたたかいお声がけや励ましの言葉をいただきました。その想いに応えられるよう、大道小学校が地域の“ひと・もの・こと”が集う核となり、将来にわたって大道地域に元気、やる気、生きがいを与えることのできる場所のひとつになりたいです」

画像: 「子どもたちが作り出す未来は希望がいっぱい」とうれしそうに語る矢ヶ部校長

「子どもたちが作り出す未来は希望がいっぱい」とうれしそうに語る矢ヶ部校長

画像: 式典の会場に並べられた、子どもたちによる手作りのランタン

式典の会場に並べられた、子どもたちによる手作りのランタン

大道地域の魅力が詰まった大道まつり。フィナーレを飾ったのは、福を分ける「餅まき」です。数え切れないほどの紅白のお餅が一斉に撒かれ、大人も子どもも関係なく、まさに熱狂の瞬間です!なかには両手いっぱいにお餅の入った袋を抱えている強者も……。この日いちばんの盛り上がりを見せて、大道まつりは閉会のときを迎えました。

画像: いつか、地域の担い手になってくれることを願って

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