世界最速を目指す革新的トラックバイクシステム「TCM-2」。TVなどのメディアでその姿を目にした方も多いのではないでしょうか。開発を手がけているのが、滋賀県にある東レ・カーボンマジック株式会社(以下、東レ・カーボンマジック)。日本の自転車競技が世界を牽引できる存在になることを目指す「HPCJC」と共に開発を進めている事業です。この活動を支援しているのが、競輪とオートレースの補助事業です。
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今回は、2024年11月に東レ・カーボンマジック本社で行われた「自転車トラックナショナルチームの訪問」に密着取材!山崎 賢人(やまさき けんと)選手を始め、TCM-2でのレース経験を持つ選手たちがトークショーや工場見学、意見交換会を行った様子をお届けします。

トークショーを通じて直接伝える、TCM-2の乗り心地

ナショナルチームのメンバーが到着すると、出迎えてくれたのは代表取締役社長の奥 明栄(おく あきよし)さんとプロジェクトマネージャーの間宮 健(まみや たけし)さん。

画像: ナショナルチームを出迎える奥社長(右)と間宮さん(左)

ナショナルチームを出迎える奥社長(右)と間宮さん(左)

そこから会場に移動し、社員のみなさんの温かい拍手に包まれながらトークショーがスタート。それぞれの目線でTCM-2の乗り心地などについて話しました。

画像: トークショーを通じて直接伝える、TCM-2の乗り心地

山崎選手:「初めてTCM-2に乗ったときの印象は“スピードが落ちない”です。スタート時は少し重さを感じましたが、それも乗っていると慣れてきます。また、いつもならコーナーを曲がる際に多少のふらつきを感じますが、TCM-2は安定感がしっかりとあり走りやすいです。あえて改善点をあげるなら、初速段階で感じる重さがなくなるといいですね」

他にも「TCM-2に乗ることで戦術に変化はありましたか?」「得意なコースはありますか?」「練習で気をつけていることを教えてください」など、社員のみなさんから集まった質問にも答えていきました。

トークショーの最後は、奥社長より参加メンバーへ記念品を授与。また、2024年10月に自転車トラック世界選手権の男子ケイリンで優勝を果たした山崎選手には、優勝者の証であるレインボージャージと同じカラーリングのトラックバイクが贈られました。

画像: サプライズで登場したトラックバイクを受け取る山崎選手

サプライズで登場したトラックバイクを受け取る山崎選手

山崎選手:「ありがとうございます!これからもみなさんが開発したトラックバイクに乗って世界を目指したいと思います。ぜひ力を貸してください。よろしくお願いします!」

最先端のカーボン素材が製品になる過程を知る

続いて工場見学へ。TCM-2に使われている「CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)」という素材がどうやってつくられているのか、どんな工程を経て製品になるのかなど、間宮さんの説明を受けながら見て回ります。

間宮さん:「そもそもCFRPとは、炭素繊維を使用してつくる炭素繊維強化プラスチックのこと。“軽くて・強くて・腐食しない”が特徴で、レーシングカー、航空機、バイク、ドローン、宇宙ロケット、釣り竿やキャリーケースなど、さまざまな製品に活用されています」

画像: CFRP製品の成形に欠かせないオートクレーブ設備

CFRP製品の成形に欠かせないオートクレーブ設備

これまで手がけた製品が並ぶギャラリー、CFRPの硬化成形に用いる巨大なオートクレーブ設備、成形加工を行うクリーンルーム……普段なかなか目にしない製造現場を前に、山崎選手は「すべて手作業でつくられているんですね!」などと感想を伝えます。

画像: 最先端のカーボン素材が製品になる過程を知る

「CFRPは繊維の配向方向によって剛性や強度に違いがあります。こうやって縦方向に引っ張ってもビクともしませんが、斜めに引っ張ると変形するんですよ」と、手の平サイズのCFRPを使って説明する間宮さん。紙のように薄いのに、プラスチックや鉄よりも優れた強度を持っているというから驚きです。

画像: カーボン素材について丁寧に説明する間宮さん

カーボン素材について丁寧に説明する間宮さん

間宮さんは「TCM-2の試作品をHPCJCのヘッドコーチに試乗してもらったとき、最初の評価は“ママチャリの方がマシ”でした」と、開発中のエピソードも教えてくれました。そこから世界の大会に出場可能なクオリティへ進化させるまでの期間は約3ヵ月。その驚異的なスピードも、東レ・カーボンマジックの強みのひとつです。

画像: 乗り心地や課題感などを社員のみなさんに伝える意見交換会の様子

乗り心地や課題感などを社員のみなさんに伝える意見交換会の様子

工場見学の後は、TCM-2の開発担当メンバーと意見交換会を実施。トークショーでも話題に出た「乗った瞬間に感じる重さ」をどう解消するかなど、今後の改良につながるリアルな意見が飛び交いました。

TCM-2の開発現場をその目で見て何を感じるか

意見交換の後、山崎選手に本日の感想をうかがいました。

画像: TCM-2の開発現場をその目で見て何を感じるか

山崎選手:「工場見学を通じて、たくさんの人の手によってTCM-2がつくられ、そのおかげで僕たちがレースに出場できていると改めて実感できました。素晴らしいトラックバイクに乗せていただき、世界一という結果も出せ、東レ・カーボンマジックのみなさんには感謝しかありません。でもこれで終わりではなく、次へ、次へとどんどん新しい目標が出てくるので、これからも一緒に歩んでいただけたら有り難いです」

また、山崎選手と共に東レ・カーボンマジックを訪問した競輪選手の太田 りゆ選手には「競輪とオートレースの補助事業が、トラックバイクなどの製品開発をサポートしていることについてどう感じるか」をうかがいました。

太田選手:「公営競技として売上の一部が補助事業などに使われているのを、私たち競輪選手は誇りに感じています。レースに出場する際、いつもそのことを考えます。競輪というスポーツが社会に貢献しているのだと、もっと多くの人に知ってもらいたいですね」

CFRPと空気力学を駆使して、より軽く、より速く

さらに、奥社長と間宮さんにもTCM-2の特徴や今後の展望についてお聞きしました。

画像1: CFRPと空気力学を駆使して、より軽く、より速く

奥社長:「TCM-2の開発で重視したのは空力(空気力学)。空気の流れやそれによる物体への影響をどうコントロールするかは、スピードに大きな影響を与えます。空気抵抗を減らすため、試作品にマネキンを乗せて何度も風洞試験を繰り返しました」

東レ・カーボンマジックには、国内唯一の自転車専用風洞試験設備があります。レースを走るときと同じ風の状態を屋内で生み出す設備ですが、もともとはレーシングカー開発のためにつくられたものだそうです。競輪とオートレースの補助事業を通じて自転車用の計測システムを導入。以降、開発精度は格段に上がったと言います。

画像2: CFRPと空気力学を駆使して、より軽く、より速く

間宮さん:「TCM-2のコンセプトは“人とトラックバイクの融合”。トラックバイク単体の空気抵抗を減らすのではなく、人が乗ることを想定した空力性能の向上を目指しています。私たちの頭の中には、TCM-2がより良い進化を遂げるためのアイデアがまだまだあります。一つひとつ実現し、世界最速のトラックバイクを目指し続けたいですね」

奥社長:「選手と東レ・カーボンマジックがワンチームとなって開発を進められるのは、とても貴重な体験。社員が前向きに取り組む動機にもなっています。トラックバイクの開発には競輪とオートレースの補助事業にサポートいただいていますが、そのおかげで十分な設備投資や人員配置ができるなど、たくさんの恩恵を受けています。今後も進化を続け、自転車競技の発展はもちろん、日本の工業製品の発展にもつなげたいです」

画像: レインボーカラーのトラックバイクを前に記念撮影をする奥社長と山崎選手

レインボーカラーのトラックバイクを前に記念撮影をする奥社長と山崎選手

より軽く、より速いトラックバイクを目指して。東レ・カーボンマジックの挑戦はまだまだ終わりません。未来のため、地域のため、誰かのため……何かのためにチャレンジする人や社会のサポートを、競輪とオートレースの補助事業はこれからも続けます。

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